2022年3月14日 20:00~22:45 にかぼちゃの馬車を発端とするスルガ銀行を始め一連の業者と投資家の壮絶なドキュメンタリーを見ました。
想像をはるかにこえる震えるほど衝撃的な内容でした。
ドキュメンタリーの内容としては,かぼちゃの馬車,スマートデイズ,スルガ銀行,建設業者,投資家さまざまな関係があり,事件の構造を把握すること声を上げて,複数で解決する必要があると実感しました。
かぼちゃの馬車とは
かぼちゃの馬車とは,地方から上京してきた女性向けの単身シェアハウスを提供していました。そのときに,元締めの不動産会社スマートデイズが住む場所の提供だけでなく,人材派遣,就職支援,婚活などワンストップでさまざまな支援をすることで収入を得ていると投資家に安心感を与えていました。
スマートデイズの本社は東京の一等地に構えており,豪華設備を見ながら案内されたら私たちは信用しても無理がないなと思いました。
「家賃収入も得られるし,社会貢献なるならいいか」と検討を始めるようになりました。
TVで見ましたが,そのかぼちゃの馬車はなんと7㎡の広さしかありません。しかもお風呂,キッチン,トイレは別でした。これでは人間らしい生活はできません。家賃は6万円もします。あまりに実勢とかけ離れています。
それでも入居率は9割以上と伝えられたそうです。
さらに相場よりも2倍高く,売却しても多額の債務が残ります。
投資家は売るに売れない八方塞がりな状態になっていました。
サブリース
不動産投資で一番怖いのは空室リスクです。入居者が入らないと家賃が入らず,ローンの返済にとても困ります。
その不安を払拭するためにサブリースがあります。
ここでのサブリース契約とは,不動産会社がシャアハウスを一括で借り上げ投資家に賃料を補償する仕組みです。30年間賃料が保証されるなら安心ですね!!
と思ってはいけません。
賃料は保証されるかもしれませんが,賃料が維持されるとは記載がありません。しかも家賃設定の主導権はサブリース会社にあります。
しかも一定期間で更新があり,次の更新で契約できるか賃料がいくらか全く予想はできません。
それでも不動産オーナーは空室になる不安よりも,家賃が保証される安心感からサブリースを契約します。
ついにサブリース契約更新なしに
スマートデイズが経営破綻をきっかけにサブリース契約がなんとストップしました。説明会では数百人の投資家が責め立てますが,取り合ってもらえません。
弁護士に相談しても借金帳消しは難しく,せいぜい金利の引き下げしかできませんという後ろ向きな回答でした。
みなさん生活がかかっているから必死です。
一人では巨大組織に立ち向かえないということを感じ取り,NHKドキュメンタリーの主人公
冨谷皐介(とみたにこうすけ)氏が立ち上がり,仲間を集いました。
スマートデイズも事態を終息できないと見て,剛腕弁護士河井先生に救済を求めて相談を持ち掛けました。
事態は思わぬ展開に!?
冨谷氏メンバーは恐る恐る相手方弁護士の河井先生の事務所に訪れました。
そこでは予想もしないことを言われました。
敵対する相手方の弁護士のはずが,一緒になって戦ってくれるそうです。
お婿様も同じようにやられて3億の借金を抱えていたみたいです。
少しづつ事件の概要が明らかに
スルガ銀行
仲間の情報を整理していくと,少しづつ真相が明らかになっていきました。不動産会社が提携する金融機関はすべてスルガ銀行の本店という共通点がありました。
「もしかしたらスルガ銀行とスマートデイズが結託しているのではないか??」
ということが分かってきました。
通帳等を改ざん
自己資金の少ない通常のサラリーマンにいきなり1億以上の融資が承認になることはありません。年収の5倍借りることができれば御の字です。
ではなぜ1億以上の物件の融資が通るのでしょうか。
それは資産に関する通帳の水増しです。
証言によると自己資金が200万円程度しかないにも関わらず,なんと0をひとつ付け足して自己資金が2000万円以上に改竄(かいざん)されていました。
契約現場の再現VTRでは次々に書類を書いて,ハンコを押して「これは何の書類ですか?」と聞ける雰囲気ではなかったそうです。
「通帳が原本と相違ないという証明」のハンコを銀行員が押しました。
銀行との交渉
銀行は頑なに不正を認めなかったそうです。
それどころか,原本証明にサインをしたのはそちら側に非がある。騙されたのは我々だと居直っていました。
冨谷氏は毎月20~30万の賃料で返済は80万円以上だそうです。返済比率はなんと400%。
アパートローンの金利は4%以上もあります。普通のサラリーマンが給料から返済できる分けがありません。
河井先生は「投資家が救われるには代物返済しかない。」といいました。
代物弁済とは、債務の履行としての本来の給付(たとえば、金銭の給付)に代えて他のもの(たとえば、車、絵画、不動産など)を給付することにより債務を消滅させる旨の債権者・債務者間の契約をいいます(民法482条)。
東京スター銀行HP
一方で事業者は消費者保護の法律が使えません。クレジット契約でも抗弁権の適用除外です。
不動産投資は消費性のものでなく事業なので,銀行との交渉は難航を極めたそうです。
銀行は不正を認める
被害者による一致団結と世論を巻き込み,ついにスルガ銀行は不正を認めました。
不正を認めても,「代物返済は個々の事情等に判断するという甘い結果となりました。」
銀行には不正を求めても債務者に対して何か救済をしなければならないという取り決めはないそうです。
今回の一連の事件で自ら命を絶つものもいたそうです。
正常な判断ができなくなり,団体信用生命保険(通称団信)の利用がよぎるそうです。
それにも関わらず,スルガ銀行はこのまま幕引きを図ろうとしていました。
ここで終わらなかった勇姿たち
メンバーたちは次なる行動を考えていました。
デモを決断
このまま幕引きを図ろうとする銀行に対して,スルガ銀行本社前でデモを行いました。
デモを始めた当初は,事件発覚から時間が経っており,世間の熱も冷めていたし,デモを邪魔されたりしました。
また勤め先に脅迫の郵便物が届いたり,個人情報がSNSで乱用されたりしました。
私はどうして意図的に邪魔をするのだろう??と考えました。
株主総会への出席
総勢200名のメンバーが15万円もの大金を叩いて,スルガ銀行の株を購入しました。
河井先生主導の元,株主総会で発言する「動議」,配席,拍手のタイミングなど綿密な準備が行われました。
ついに代物返済へ
世間の注目がさらに高まり,
スルガ銀行は金融庁から新規融資の停止と債務者の救済という決定を下されました。
今回の一連の事件で感じたことは
今の世の中にはやはり
「借りた人が分かってやったのでしょう??」,「詐欺行為に騙されるほうも悪い。」
という風潮があるのも事実です。
もちろんお金を借りた債務者にも落ち度はあります。
それでも入居率9割以上,利回り8%以上,サブリースで安心家賃保証,社会貢献といわれて銀行のお墨付きもあれば信じるのも無理がありません。
でも自分がその立場になったときに同じように言えますか?? 今は運よく騙されていないかもしれません。
顔は非公開でしたが,スルガ銀行の行員も
「出世するのは,少なからず際どいことや悪いことをする人」といってました。
その他にも年収200~300万円の若年層を対象にした,
アルヒ・アプラスの年収改竄の不動産投資の問題もあります。
上京したばかりの女性が知識や経験で圧倒的に上のブローカーに言いくるめられたとしても契約したほうが悪いと言えるでしょうか。
冨谷氏はサラリーマンを辞めて,詐欺や不当契約に悩む被害者救済の会社を設立しました。
すばらしいお方です。
この事件を通して,
詐欺まがいの行為の撲滅と真面目にコツコツ働くものが報われる世の中になってほしいと心から願っています。
今回で視聴できなかった人は再放送も予定しています。
私たち一人ひとりが関心をもつことが大切です。
株,不動産,節税など暮らしに役立つことが掲載されています。