中国の電力不足により工場で太陽光関連の部品が生産調整されて,太陽光パネルやパワコンが手に入りにくくなり,価格が高騰しています。
太陽光に詳しい業者や知人と話をしていると,この傾向は当面続くそうです。
検討を考えている方は,早めの決断がいいと思います。
一方で蓄電池は一般的に150万円以上もする設備です。
専門用語も多いです。
慎重に検討したいのに,訪問販売等では「今決めて下さい」と言われ困ってしまいます。
そのような悩みに寄り添い,購入への背中を後押ししたい。
この記事ではカタログによく出てくるワードを解説します。
1.蓄電池よく出てくるワード
kw と kwh の違い
まず初めに, W(ワット)は電力を表します。
電流A(アンペア)は電気の流れる量,電圧V(V)は電気を流す力,電力は次の式で表されます。
P[ W ]=I[ A ] × V [ V ]
( P:電力,I:電流,V:電圧 )
中学校の理科オームの法則で学習した懐かしい式ですね!!
例えば,エアコンの電力が1000Wで200Vコンセントの場合は,5A(アンペア)の電流が流れていることになりますね!!
繰り返します。
W(ワット)は電力を表します。
次に,kwh(キロワットアワー)は電力量を表します。
電力 kw と時間 h の積で表されます。
kwh(キロワットアワー)=kw(キロワット)×h(時間)
となります。
分かりやすく図で示すます。
kw(キロワット)は水圧,
kwh(キロワットアワー)はたまった水の量です。
それでは蓄電池の容量を表すときは,
kwh(キロワットアワー)になりますね!!
蓄電容量と初期実行容量
蓄電容量と初期実行容量はカタログで頻繁に見かけますね。
蓄電容量とは蓄電池に電気を蓄えることができる容量
初期実行容量は,実際に使用できる容量を表します。
という関係です。
ここで皆さんは次の疑問を持つと思います。
蓄電容量いっぱいまで電気を充電したり,貯めた電気をすべて使用したりできないの??
蓄電池をフル充電とフル放電を繰り返し行うと蓄電池にかなりの負荷がかかります。
蓄電池の寿命を長持ちさせるためにも,
「放電深度」といって放電できる量を定めています。
もう一つあります。
蓄電池を放電するときに100%電力が放電されるわけではなく,蓄電池の内部抵抗により,若干の損失が生まれます。これを変換効率といいます。
日本電機工業会 ( JEMA ) が初期実行容量を次の式で定義しています。
初期実行容量=蓄電容量×放電深度(%)×変換効率(%)
上記の式をシンプルに表現すると,
初期実行容量は蓄電池の85%程度です。
蓄電池も私たちの心持も「あそび」や「余力」が大切ですね。
特定負荷型と全負荷型
特定負荷型,全負荷型。
なんだかとても難しそうですね( ;∀;)
停電の時を想像してみてください。
電線からの電気が供給されないわけですから,電気が復旧するまで,蓄電池に貯めてある電気を大切に使います。
特定負荷型はあらかじめ決められたコンセントでしか電気が供給されません。
停電時に蓄電容量の小さな蓄電池だと高出力の電気を使用するとすぐに「からっぽ」
になるのを防ぐためです。
これでは停電時には普段時と同じ生活は難しいですよね。
これに対して,全負荷型とは停電になってもすべてのコンセントで電気が供給されます。
自然災害が多発する昨今。
停電時で周りは真っ暗。
全ての部屋で明かりがつき,IH機器が使え,お風呂にも入れ,エアコンも使えます。
これって,すごいことだと思いませんか??
個人的には,全負荷型である 10kwh 以上の大容量の蓄電池がおすすめです!!
停電時も長持ちして,これまで通りの生活がしたいとき
蓄電池は全負荷型を選びましょう!!
単機能とハイブリット
単機能もハイブリッドもパワコンのことを指します。
パワコンとは直流電流を交流電流に変換して,家庭で電気を使えるようにする機器です。
単機能型の蓄電池は,太陽光発電システムのパワコンとは別に蓄電池のパワコンを設置して交流電流に変えます。
太陽光発電システムのパワコンをそのまま使えるので,設置費用が安くなります。
一方で,停電時には太陽光のパワコンでは出力が1.5kwまでなので,電気の供給で不安があります。
ハイブリットのパワコンは太陽光発電システムと蓄電池を一つのパワコンで結びます。
メリットとしては,停電時にも高い出力を保持できたり,変換効率も高いので,発電ロスが少なくなります。
パワコンの耐用年数は10年なので,既存のパワコンからハイブリットパワコンに切り替えることをお勧めします!!
文章では伝わりにくいので,下図を参考にしてください。
※DC ( Direct Current ) は直流,AC ( Alternating Current ) は交流。
単機能は太陽光システムのパワコンと蓄電池のパワコン2回変換を行うので,ロスは大きくなります。
サイクル数
1サイクルとは,蓄電池が充電を開始して満充電になり,放電して0になることです。
蓄電池のカタログではサイクル数が記載されています。
例えば,スマートソーラー株式会社の蓄電池が6000サイクル可能と記載しています。
使用可能な蓄電池の場合,
1日1サイクル利用すると,
6000÷365=16.4年
なんと,16.4年も使用可能となります。
2.最適な蓄電容量は?
現在,太陽光発電システムが 4kw の家庭で考えてみます。
日中の晴れた日を想定すると,
自家消費と売電の比率がおよそ1:2になるので,2.8kwが蓄電池に充電されます。
これは,HEMS(ホームエナジーマネージメントサービス)のデータが根拠です。
設備ごとの電気の使用量が分かる機器です。
5kwhの容量の小さな蓄電池だと,およそ2時間で蓄電池は満充電されます。
太陽光から作られた残りの電気は電線を通って電力会社が安い価格(中国電力は@7.15円)で買い取ることになります。
せっかく蓄電池を導入するなら,太陽光で発電した電気をほぼ全部消費したいですよね??
電力会社から化石燃料由来の電気を買わないことが,地球環境への貢献につながります!!
これはあなたができる大きなSDGsです!!
これは私の個人的な見解ですが,
蓄電池の最適な蓄電容量は太陽光システムの出力の2~3倍程度である。
自家消費の観点からも,やはり10kwh以上の蓄電池が望ましいです。
この記事を通して蓄電池に少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。
3.最後に
最後に,ストレージパリティーという言葉を耳にしたことはありますか。
蓄電池を導入しないよりも,蓄電池を導入したほうが経済メリットが多い状態です。
カーボンニュートラルの実現に向けて,まずはストレージパリティーの実現が必要です。
ストレージパリティーが実現されると蓄電池の導入はかなり増えると思います。
まずは蓄電池の相場を知りたい方は見積もりをとってみてはいかがでしょうか。
令和4年度のDER補助金情報も先日リリースされました。
予算枠に限りがあるので,導入を検討される方は早めの行動をおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございます。
株,不動産,節税など暮らしに役立つことが掲載されています。