世間一般で,公務員は比較的給料が高く安定していると言われます。ボーナスも確実に支給されて羨ましい。税金で食べているなど風当たりは弱くないです。
果たしてそうでしょうか??
確かに民間に比べて給料は安定していますが,給料が上がるのは40~50代になってからです。20代~30代は業務量と給料が見合っておらず,休職する人や転職する人が多いです。
小学校では担任の先生一人でほとんどすべての業務を抱えます。
中学校では思春期で生徒対応も一番難しく,部活動の問題も出てきます。
高等学校では,受験や就職のフォロー等多岐にわたります。
特別支援学校は,一人ひとりのニーズに応じた細やかな支援が必要です。
転職や副業を考えようにも,日々の業務が忙しくなかなか行動に移せません。
職場ではお金の話はなぜかタブー視されています。この記事では公務員の副業について考えてみます。
結論からお伝えします。
公務員の関係法令
公務員は公私を問わず,法律に基づいての運用や解釈が求められます。
これは,法律に縛られるものとマイナスに捉えるのではく,法律に守られているというプラスの考えをもつようにしています。
地方公務員では地方公務員法に照らして考えます。
副業に関連する法規を教えてください。
地方公務員法
地方公務員法の30条(服務の宣誓),35条(職務の専念義務),38条(営利企業の従事制限) がポイントとなります。
第三十条(服務の根本基準) すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
第三十五条(職務に専念する義務) 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
第三十八条(営利企業への従事等の制限) 職員は、任命権者の許可を受けなければ、(中略)私企業を営むことを目的とする会社(中略)、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員については、この限りでない。
地方公務員法
法解釈
それでは法解釈をしてみます。
第35条は「勤務時間は職務に専念してください。」ということですね。
勤務中は給料が発生していますから,他の事業のことをしてはいけません。そもそも学校現場では,他のことに注意を向ける余裕はまったくありません(笑)
特に38条の条文をよく読むと,任命権者の許可 という解釈が出てきます。任命権者とは校長先生だったり,教育委員会となります。
勤務時間外に任命権者の許可を得ることができれば全面的に禁止というわけではない。
なんというか微妙な解釈になりそうですね。
認められやすい事業
とはいうものの,勤務時間以外にゴリゴリに肉体労働をすると本業に差し障る可能性が大いにあります。職務に専念義務を履行できないので,認められにくいです。
現場作業やアルバイトは届け出ても却下となります。
不動産賃貸業
親や親族から不動産を相続する場合,売却するのでなく家賃収入を得る。これはとても認められやすいです。
相続以外の不動産賃貸業はどうでしょうか。
ポイントは事業的規模 かどうかです。
国家公務員の人事院規則で,事業的規模とは5棟10室と規定されています。
地方公務員でも,これを準用している自治体が多いようです。
とうことは,アパート経営において5棟以下でかつ10室以下であれば事業的規模でないということです。
⇒不動産を少しづつ買い進めて,5棟以上か10室以上になれば任命権者に許可をもらうか,許可を取りたくなければ,転職等を考えてもいいかもしれません。
太陽光発電事業
太陽光発電事業は歴史が浅く,相続での取得は考えにくいです。
住宅の屋根に太陽光を設置して,収入を得ることは許可の必要はないそうです。
営利企業の従事制限の許可が必要なのは,出力10 kW 以上の太陽光発電による売電事業です。
産業用の太陽光発電事業を自分の名義で取得する場合は,必ず届け出が必要です。
不動産賃貸業よりも敷居が高くなりますね。
それでも,管理などが外注するなどの条件で認められる可能性はあります。
私は,校長と面談して太陽光に関する兼職兼業の許可をもらい,毎年申請をしています。
(諸手を上げて,認めるという雰囲気ではありませんでしたが。。。)
家業の引継ぎ
継続的な労働でも家業を引き継ぐ場合は兼業の許可が出やすいです。
例えば,お寺さんや農業。
もともと教員養成が厳格化されてないときは,地域のお寺さんが教師として子どもたちに勉強を教えていたので,その名残もありますね。
私の周りも教師とお寺さんを両方している方もたくさんいます。とても大変そうで頭が下がります。
農業も不安定で担い手不足なので,教師と兼業も多いです。
その他教育に関する単発の仕事
英検や模擬試験の試験監督はすぐに認められます。
また,各種講演や教科書等の各種執筆で報酬を得ることも認められます。
東京都教育委員会は育児に関するマンガの執筆は教育に無関係ということで許可を得られませんでした。現在,裁判中になっています。
子どもを育て教える教師が育児に関するマンガの執筆をすることはとても有意義だと思っています。ぜひとも認められてほしいです。
ちなみに塾,予備校講師,家庭教師等との兼業は認められません。
いったん,兼職兼業が求められても毎年4月に教育委員会に申請が必要です。
ただし,不動産賃貸業,駐車場経営,太陽光発電事業は規模に変更がなければ,校長先生の専決決済ですむようになりました。(※手続きが簡素化されました。)
まとめ
最後に教育公務員が認められやすい副業(兼職兼業)と認められにくい副業をまとめてみます。
☑ 不動産賃貸業(5棟10室以内)
☑ 太陽光発電事業
☑ 家業
☑ 教育に関係する単発の仕事
公務員の強みは,安定です。とても,融資が組みやすいです。
また,教育に関係がない,継続的な仕事,体力を使う仕事は不許可となりやすいです。
☑ 継続的な労働
☑ 教育に関係の薄い事業
☑ アルバイト
ブログ,アフィリエリト,メルカリ,ラクマなどの物販はどちらともいえないというところでしょうか。
すべてを網羅できなくて申し訳ないです。随時更新していきます。
注意点としては,職場であまり副業の話をしない,住民税の徴収を自分で納める(普通徴収)にすることです。副業ばれで一番多いのは,密告です。
また,相談することに多少のリスクはありますが,相談していれば処分を受けることはありません。グレーな場合は所属長に相談することをおすめめします。
☑ 職場では話をしない。
☑ 住民税は普通徴収に。
☑ グレーな場合は相談。
その他の資産形成
株取引
株取引や投資信託などの資産運用は禁止されていません。
何度もいいますが,勤務中に行うことは厳禁です。
公務員も共済年金制度がなくなり,年金も目減りしてきます。idecoへの加入も認められるようになりました。
2022年4月から高等学校の家庭科でも金融教育の取り扱いを始めました。
不動産特定共同事業
近年,注目を集めている不動産特定事業。いわゆる,クラウドファンディングです。
国土交通省の規制緩和により,参入障壁が低くなり,多くの事業者が商品を販売しています。
私もいくつかの事業者に登録,出資をしています。おすすめの会社を当ブログで紹介しています。
基本的に出資して,満期までほったらかしで大丈夫ですので,忙しくても取り組みやすいです。
いきなり,不動産投資に取り組むと金額が大きく敷居が高いです。クラウドファンディングを経験することで,投資の敷居が下がり不動産投資の後押しになるはずです。
年々増える業務量。給料以外の収入の柱があれば,精神的にとてもらくになります。
近年は,市町村の公務員は副業を解禁するながれになりつつあります。多様性やSDGsが叫ばれる昨今,旧態依然の法定等の見直しをする時期にきていると思います。
株,不動産,節税など暮らしに役立つことが掲載されています。