先日,出生数が80万人を割り込んだと報道がありました。
出生数の低下は,生産人数の低下,経済活動の低下,さらなる出生数の低下と負のスパイラルになります。
満足に子育てができる環境のひとつとして,産休・育休の制度の充実が大切です。また,民間の制度を充実させるには,公務員から率先して制度を充実させる必要があります。
この記事では公務員の産休・育休制度についてまとめます。
・充実した公務員の産休・育休制度。
・育休中のお金の流れ
・お得な育休の取得方法。
産前・産後休暇
まずは,産前・産後休暇(いわゆる産休)についてです。
産前・産後休暇とは
産休とは? 産休は出産の準備期間(産前休業)と産後に回復する期間(産後休業)を合わせた休暇をいいます。
産前・産後休暇は子どもを産むための休暇です。もちろん,女性のみ取得できます。
権利ではなく,義務です。
母子手帳をもらうときに,出産予定日も示されます。
その前後に出産に備えて,休業をします。
※フルタイムの社員だけではなく,パートやアルバイトも含めて,すべての労働者が取得できます。
産前・産後休暇の期間
通常は,出産予定日を起算日として,産前6週,産後8週です。
でも,産前6週となるとお腹もかなりふくらんで,通常の業務は難しいと私は思います。
これが,公務員の場合は期間が変わってきます。
公務員の場合は,産前8週,産後8週です。
公務員は民間と比べて,2週間も早く出産に備えて休むことができます!!
民間の出産手当金
雇用保険を支払っている場合は,産休期間中も手当金が支給されます。
※ パートやアルバイトの人,夫の扶養に入っている方は産休期間中の約4か月,手当の支給はありません。
私の妻は扶養内だったので,手当の支給はありませんでした( ;∀;)社会保険の大切さを改めて実感しました。
民間の場合は,標準報酬日額の2/3が雇用保険から手当が出ます。
1日当たりの手当額は,標準報酬月額の2/3です。
標準報酬日額=標準報酬月額÷22
1日の支給額=標準報酬日額×2/3
例えば,標準報酬月額が220,000の場合は,
標準報酬日額は,220,000÷22=10,000
1日の手当=10,000×2/3
=6,667円 となります。
なお,産休期間中の総額は
6,667×98(14週)×5/7=466,690円となります。
公務員の出産手当金
公務員は雇用保険の支払いはありません。
ということは,産前・産後期間中は出産手当金はないの??
公務員の場合は,産前・産後期間中でも職場から給与の支払いがあります。
しかも,休暇前と同じで全額支給です!!
しかも,この4か月間は勤務とみなされるので,ボーナスも支給されます!!
これ以上書くと,公務員バッシングが始まりそうです(笑)。
働いていないのに,雇用保険を掛けていないのに,給与が支払われてます。かなり,充実しています。
標準報酬日額=標準報酬月額÷22
例えば,先ほどと同じように
標準報酬月額が220,000の場合は,
標準報酬日額は,220,000÷22=10,000
なお,産休期間中の総額は
10,000×112 (16週) ×5/7=800,000円となります。
民間に比べて,ほぼ2倍の手当金がもらえます。
ボーナスも加味すると,3倍近くなります。
出産一時金
最近は,出産一時金を大幅に超えた自己負担が必要で引き上げが議論されています。
現行では42万円ですが,50万円になると見込まれています。
公務員の場合は,出産一時金とは出産不可金が5万円,互助会から1万円の支給がありました。
出産に際して,持ち出しが大幅な持ち出しが必要と思っていましたが,逆に費用が余りました。
お金の心配なくお産に備えられるのは,とても安心材料です。
✅ 出産一時金 42万円
✅ 出産付加金 5万円
✅ 互助会 1万円
社会保険料の減免
産休中は社会保険料が免除されます。社会保険料は給料の15%の負担があるので,免除されるのはとても大きいです。
産休に入ったその月から免除されます。
✅ 健康保険
✅ 厚生年金
✅ 退職等年金払い掛け金(公務員)
✅ 雇用保険(民間)
✅ 介護保険(40歳以上)
✅ 各種互助会
しかも,出産に関する手当金は「非課税」です。
所得税や住民税もかかりません。
育児休業
続いて,育児休業です。
育児休業とは
子どもを養育する義務のある労働者が制度に基づいて取得できる休業。原則1才まで。女性は産後休暇が終わった後から,取得可能。男性は,子どもが誕生してから取得可能。
産前産後休暇は「義務」に対して,育児休業は「権利」。
つまり,家庭の状況等に応じて,取得してもしなくてもいい休業です。
実は,育児休業が制度化されたのは,1992年~で,つい最近です。
私たちの親世代は産前・産後休暇しかなく,産まれてから8週間後には赤ちゃんを預けて,働いていたそうです。
というか,働かざるおえなかったそうです。
想像しただけで,大変すぎます。。
2022年現在,女性は90%以上の取得に対して,男性はわずか10%台と低迷。
詳しくは,厚生労働省のHP を参考にしてください。
男性の育休取得が進まない原因
産まれたばかりの赤ちゃんは2~3時間おきに,授乳が必要です。
理解のできない夜泣きをたくさんします。
今も,隣で「わ~,わ~」と叫んでいます。
それをお母さんだけが育児をするよりも,お父さんも一緒に乗り越えるほうが,その後の夫婦関係,親子関係も良好になります。
などさまざまな要因があります。
ここでは,育児休業中の生活資金について実体験を基に考えます。
育児休業給付金
雇用保険の被保険者は,子どもが1才に達するまで育休中の生活保障として育休手当が支給されます。
手当額は以下の通りです。
取得日数 | 1日当たりの手当金 |
---|---|
1日~180日まで | 標準報酬日額×67% |
181日以降 | 標準報酬日額×50% |
給料が2/3 になると生活できないと思われるかもしれないですね。
一見すると,月収300,000円が200,000円になります。
ところは育休中は掛け金等がさまざま免除されます!!
所得税
育休手当金は非課税なので,所得税は発生しません。月の途中で,育休を取得した場合は,会社からの日割りの給料のみ所得税がかかります。
住民税
住民税は少し,説明が必要です。
住民税は前年の所得を基に算出さて,6月~翌年5月に給与天引きされます。
例えば,2023年1月に育児休業を取得した場合,1月~5月の5か月分の住民税の請求書が自宅に送付されます。
これまで「特別徴収」により会社から天引きされていた住民税が,自分で納付する「普通徴収」に切り替わります。
育休手当金は非課税なので,今年度の課税所得を減らし,次年度の住民税が安くなります。
社会保険料
育休を取得した月から社会保険料が全額免除となります。
しかも納付したこととして処理されるので,将来の年金額に影響はありません。
私は月に6万円も社会保険料を支払っていたので,とてもありがたいです。
最もお得な取得の方法は,ボーナス月に取得することです。
育休手当のまとめ
半年間の育休取得は,お金の面では大きな心配はありません。
制度が充実しているので,手取りベースでの80%~85%の収入は確保できます。
さらに月収が高い人は,非課税の育休手当金で手取りはさらに多くなります。ボーナス月に取得できれば,手取りのほぼ100%の収入となります(*^-^*)
育休中のお金の流れ
週休日(土日)を除いた前月の育休の日数が計算されます。前月分が翌月末に振り込まれます。
月曜日〜金曜日に祝日があっても,支給日としてカウントされます。上記の例で言えば,3月の23日間分の手当が4月の末日に振り込まれます。
公務員の場合は,給料と同じように毎月手当が振り込まれてとても安心です(^^♪
民間の場合は,育児休業手当金は2ヶ月ごとなので,次の振り込みまで期間が空きます。
毎月,手当が振り込まれ点でも民間よりも充実していますね‼︎
公務員の育休の期間
公務員の場合は,最長3年間まで育休を取得することができます!!(原則2年目からは無給ですが。)
しかも,その間も昇級します。
育休中に,ポジションがなくなることはありません。しかも,代替職員を任用するので職場は何とかなります。
職場よりも家族との時間を大切にしてほしいです。
公務員と民間の産休・育休のまとめ
最後に公務員と民間の産前産後休暇(産休)と育児休業(育休)の違いをまとめます。
産休制度の違い
まずは産休制度の違いを表にまとめます。
民間 | 公務員 | |
---|---|---|
給付の団体 | 雇用保険 | 共済組合 |
産休の期間 | 産前6週,産後8週 | 産前8週,産後8週 |
給付金 | 標準報酬月額の2/3 | 満額支給 |
給付根拠 | 過去6か月の平均 | 前月の給与 |
社会保険料 | 免除 | 免除 |
ボーナス | 企業による | 支給 |
同じ産休制度ですが,よく見るといろいろな違いがありますね!!
育休制度の違い
続いては育児休業制度の違いをまとめます。育休は男女とも取得可能です。
民間 | 公務員 | |
---|---|---|
給付の団体 | 雇用保険 | 共済組合 |
育休の期間(男子) | 子の出生後~1年 | 子の出生後~3年 |
育休の期間(女子) | 産休終了後~1年 | 産休終了後~3年 |
給付金 | 1日~180日 標月の2/3 181日~360日 表月の1/2 | 1日~180日 標月の2/3 181日~360日 表月の1/2 |
給付頻度 | 2か月に1回 | 毎月 |
社会保険料 | 免除 | 免除 |
ボーナス | 企業による | 期末手当は半分支給 |
大きな違いは育休期間が最長3年取得できることや,毎月給付金が支払われることですね!!
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特に教育公務員は子どもに休暇に対して,とても寛容です。
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